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a接点入力仕様の開閉用リレーにご注意。2022.03.01
制御機器のリレーで誤作動?
a接点入力仕様の電動操作機に無接点リレーを使用する場合、リレーの仕様によっては電動弁が誤作動する可能性があります。
誤作動の原因となるのは、リレーから漏れる電流です。
有接点であるメカニカルリレーの場合、接点OFF時に電流が漏れるといったことは発生しません。
ところが無接点である半導体リレーではOFFの状態でも電流の漏れが発生する場合があります。
問題となるのは制御機器等に保護素子として挿入されている、CRアブソーバ(サージキラー)です。
<回路例1>
回路例1の制御機器のトライアック出力(6-4間)と並列に接続されているCRが保護素子です。
コンデンサは交流電流を流しますので、CRのコンデンサ容量が大きければ大きいほど電流を多く流します。
コンデンサのインピーダンスは
Z=1 / (2πfC)
の式で計算できます。
Z=インピーダンス(Ω)
f=周波数(Hz)
C=容量(F)
60 HzのAC200V電源で、CRアブソーバのコンデンサ容量が0.1μFの場合を想定してみましょう。
Z=1 / (2×3.14×60×(0.1×10E-6))=26539 Ω
トライアックがOFFであっても26.5kΩのインピーダンスを持つ保護素子を通って電流が流れることがわかります。
(保護素子には47~200Ωの抵抗器が直列に入るので実際のインピーダンスは若干高くなります。)
AE2シリーズ電動操作機のa接点入力インピーダンスは、ほぼ同じ27kΩ程(AC200V時)ですので
トライアックOFF時にa接点入力回路に流れる電流値は保護素子と合わせて約3.8mAとなってしまいます。
この状態だと電動操作機の接点入力がONとみなされ、全開位置から作動しない、勝手に開動作する等の誤作動が発生します。
誤作動を防ぐには
保護素子の定数が選択できる場合は、できるだけ小さいコンデンサ容量を選定してください。
たとえば0.01μFであればインピーダンスは上記計算値の10倍になるので、漏れ電流は約0.4mAとなり
操作機仕様の範囲内(許容漏れ電流 1mA以下)に収まります。
AM2およびAE2シリーズ電動操作機のa接点入力はフォトカプラで受けていますので保護素子が必要なサージ電圧などは発生しませんが、他の機器から発生したサージ電圧を電源ラインやケーブル越しに受ける可能性がある場合は注意が必要です。
他の機器からのサージ電圧の影響を受ける可能性がある場合や、保護素子の定数が選択および変更できない場合は、CRアブソーバの漏れ電流をバイパスするように、CRアブソーバを追加することで改善できます。
<回路例2>
回路例2のCR2が追加したバイパス用CRアブソーバです。
O端子から操作機内部回路に漏れる電流をT1端子へ流すことで誤作動の発生を大幅に減らすことができます。
バイパス用CRアブソーバのコンデンサの値は0.1μFを基準とし、効果が薄い場合は2つ3つと並列に接続してください。
ほとんどのケースでは0.1μFのもの1つで改善するはずです。
CRアブソーバの抵抗値に関しましては大きいほうがより突入電流を抑制するので、複数の選択肢から選定する際は抵抗値の高い方を選定することがポイントです。
(低い抵抗値でも問題にはならないと思われます。)
CRアブソーバの代わりに抵抗器だけでバイパスする方法もありますが、抵抗器は発熱しますので抵抗器の耐電力や取り付け場所に注意が必要です。
取り付け位置
電動操作機はCRアブソーバの取り付けを想定していません。
バイパス用CRアブソーバは基本的に制御盤内の回路に組み込んでください。
制御機器の漏れ電流による誤作動は制御盤側に取り付けても効果は同じです。
制御盤から電動操作機までのケーブル引き回しによる電磁・誘導結合が原因である場合は
電動操作機内部にバイパス用CRアブソーバを取り付けないと効果が望めない可能性があります。
やむを得ず電動操作機内部に取り付ける場合は、他部品や電線と干渉しないようにしてください。
また配管からの振動の影響も受けやすいので設置環境に注意が必要です。
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