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バルブの材質(樹脂編)2021.06.01
幅広い用途に対応するため、弊社ではさまざまな材質のバルブをラインアップしています。
こちらでは、バルブ本体や弁体などに使用している樹脂について紹介していきます。
樹脂の特徴
樹脂という言葉を辞書で引くと「植物から分泌される混合物質」となっていますが
これは天然樹脂と呼ばれるもので、通常、工業用品には使用されません。(たぶん…
弊社の製品には、化学的に作り出した人工の有機化合物である合成樹脂を使用しています。
合成樹脂には、加熱すると柔らかくなる「熱可塑性樹脂」と、加熱すると硬くなる「熱硬化性樹脂」があります。
ところで、他の呼び方でプラスチックという表現がありますが、”Plastic”の意味を調べると「可塑」となっています。
ん? それでは、先ほど出てきた加熱すると硬くなる「熱硬化性樹脂」はプラスチックと呼べないのか?
いえいえ…
実は、熱硬化性樹脂も加熱の始めでは可塑性を持つのでプラスチックと呼んで間違いありません。
弊社の製品に使用している樹脂部品のほとんどは熱可塑性樹脂です。
加熱して溶けた材料を金型に注入し、冷却して硬化させることで複雑な形状を作ることができます。(溶融成形)
バルブ自体に熱硬化性樹脂は使用していませんが、操作機とバルブを接続する部品で熱伝導を低減する断熱材として使用しているものがあります。
この部品は高温環境下でも機械的強度に優れるフェノール樹脂製です。一般的には商標名であるベークライトや略してベークと呼ばれる材料です。
敢えてここで紹介したのは、フェノール樹脂は工業製品に使われる樹脂の礎となった材料だからです。
今では多くの用途で熱可塑性樹脂に置き換わってしまいましたが、フェノール樹脂のおかげで工業製品は飛躍的な進化を遂げました。
発明したレオ・ベークランド氏はプラスチックの父と呼ばれています。
話のついでにもう一つ…
フェノール樹脂の正式名称をご存知でしょうか?
「ポリオキシベンジルメチレングリコールアンハイドライド」
召喚獣でも出てきそうですね。
話がそれてしまいましたが、樹脂は金属に比べて軽量で安価であることや、金属が侵される酸や薬液等にも使用できるなどさまざまな特徴を持っています。
弊社ではそれぞれの樹脂の特徴を生かした樹脂製バルブも数多くご用意しています。
弊社製品に使用している樹脂
●PPS
ポリフェニレンサルファイド
広い温度域で高い引っ張り強さと剛性を有し、現在では金属材料から置き換える樹脂の代名詞となっているエンジニアリングプラスチックです。
耐薬品性にも優れており、多くの溶剤、アルカリ、酸(一部を除く)に耐性を持ちます。
耐付着性にも優れ、異物が付着しにくいことも特徴です。
Zシリーズ小口径バタフライ弁の弁体などに使用しています。
●PVC
ポリ塩化ビニル
一般に塩化ビニル、略して塩ビと呼ばれている材料です。樹脂製のバルブといったらこの材料が最も一般的かと思います。
配合により硬さが調節できるため同じ記号(PVC)でも、軟質ポリ塩化ビニルと硬質ポリ塩化ビニルに分けられます。
弊社が扱っているバルブは硬質ポリ塩化ビニルです。軟質の方はホースとかに使われていますね。
ほとんどの酸、アルカリおよび塩に耐性を持ち、耐薬品性や耐候性にも優れた材料です。
有機溶剤には弱いことと、耐熱性が低く65~85℃で軟化する(実用温度は50℃以下)ことに注意が必要です。
Zシリーズ小口径バタフライ弁のソケットや、PA、PL、LP、TPシリーズボール弁に使用されています。
●C-PVC
耐熱ポリ塩化ビニル
PVCとほぼ同じ特性を有し、PVCよりも高温で使用できる材料です。
使用圧力にもよりますが、最大90℃までの実用強度を有します。
Zシリーズ小口径バタフライ弁のソケットや、PA、PLシリーズボール弁に使用されています。
●PVDF
ポリビニリデンフルオライド またはポリフッ化ビニリデン樹脂(二フッ化)
フッ素樹脂の一種で大変優れた耐薬品性を有し、通常の塩酸および有機薬品に対して安定して使用できます。
発煙硫酸やアミン類には侵されます。またケトン、アミド、有機溶剤、アルカリ等には使用条件が制約されますので注意が必要です。
樹脂製バルブの中では最も耐熱性が高く、使用圧力にもよりますが最大100℃まで使用可能です。
PA、PLシリーズボール弁に使用されています。
●PP
ポリプロピレン
比重が小さく、軽量なプラスチックです。
引張強度、衝撃強度、圧縮強度が高く、耐摩耗性にも優れています。
また、耐付着性にも優れ、異物が付着しにくいことも特徴です。
多くの酸、アルカリ、塩、有機溶剤にも耐性がありますが、含塩素系溶剤、脂肪族、芳香族炭化水素には侵されます。
耐候性が低く、直射日光に晒されると白化しますので注意が必要です。
PA、PLシリーズボール弁や、FPシリーズバタフライ弁に使用されています。
●PFA
パーフルオロアルコキシアルカン または四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重化樹脂(長い…
PTFE等のフッ素樹脂と異なり、熱可塑性樹脂のように溶融成形ができるので、複雑な形状でも製作することができます。
PTFEに匹敵する特性を持ち、強酸、強アルカリや有機溶剤に対しても強い抵抗性を示し、ほとんどの薬品に対して侵されることがなく優れた耐薬品性を誇ります。
その他、非粘着性、耐候性にも優れています。
弊社製品のラインアップでは溶融成形ができるメリットを生かし、BLシリーズボール弁の接液部ライニングに使用されています。
●PEEK
ポリエーテルエーテルケトン
あらゆる面において高機能な熱可塑性樹脂であり、スーパーエンジニアリングプラスチックの代表格です。
高性能なぶん、価格もSUPERなので、絶対に加工ミスしたくない材料です。
機械的強度はもちろん、耐熱性、耐加水分解性にも優れ、使用圧力にもよりますが最大140℃まで使用することができます。
耐薬品性にも優れ、高温下での耐酸、耐アルカリ性にも優れています。ただし濃硫酸には侵されてしまいますので注意が必要です。
NPシリーズ微小流量調節用ニードル弁に使用しています。
お気軽にお問い合わせください。
ニードルバルブ、ボールバルブ、バタフライバルブ等、軽量で耐食性に優れた樹脂製バルブを数多くラインアップしています。
ホームページやカタログの製品案内、バルブ仕様書で材質は確認できますが、詳しくは弊社営業部までお問い合わせください。
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