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ボールバルブのシート2021.11.01
ボール弁は本体やボール、ステムなど複数の部品で構成されています。
内部に流体を流す製品ですので、それぞれの部品の間には隙間を塞ぐシール部品を配置する必要があります。
シール部品は外部漏れを防ぐものと流路の漏れを塞ぐものとに分類され後者は「弁座」と呼ばれます。
「弁座」よりも「シート」と呼ばれることが多いので、ここからはシートと表現します。
因みに英文表記ではSheetではなくSeatの方です。
同じような発音でややこしいですね…(誤変換に注意しなければ…)
前置きが長くなりましたが、今回はボールバルブのシートについてのお話です。
フローティング構造用のシート
シートがボールを支えている構造のボールバルブです。
本体の流路に配置された2枚のシートが適度な締め代でボールを挟み込んで支えています。
流体圧力によりボールが下流側に押されることで安定したシール性能を確保します。
ここまでは前回のボールバルブの構造からの引用です。
シートは隙間を塞ぐだけでなく、ボールを支える役割も担っています。
そのため適度な弾性と適度な剛性の両方の要素が求められます。
加えて自動弁の場合、ボールとの摺動抵抗(作動トルク)ができるだけ少ないことも重要です。
そんなあれもこれもと、わがままな要求に応えてくれるのがフッ素樹脂です。
ポリテトラフルオロエチレン(Poly Tetra Fluoro Ethylene)と呼ばれ一般的には商標名で呼ばれることが多い材質です。
弊社のカタログ等ではPTFEと表記しています。
世界中のバルブメーカーがシートに採用している材料です。
そんなマルチなフッ素樹脂ですが、流体の温度や流速の条件が厳しくなると変形してしまい使用できなくなってしまいます。
また、比例制御モデルの場合、中間開度で使用するのでシートの一部だけボールと接触する状態となります。
ボールが押さえていない部分のシートは流体の流れに晒される状態となるためON・OFF用途よりも剛性の高いシートを使用する必要があります。
そこで、化学的にフッ素樹脂を変化させ耐クリープ性能を向上した変性PTFE(F-PTFE、N-PTFE)や
PTFEにガラス繊維や炭素繊維を加えることで強度を増した強化PTFEなど
様々な使用条件にお応えできるようハイグレード材質のシートもご用意しております。
高頻度の比例制御用途でシートの寿命をもっと延ばしたいといったお客様の声にお応えできる様
技術開発部では更なる耐久性を目指し、新素材のシートも開発中です。
トラニオン構造用のシート
ボールが軸で保持されているトラニオン構造のボール弁は、裏に配置したばねの力でシートをボールに押し付けることによってシール性を確保しています。
シートの弾性ではなく、ばね力を利用しているのでより高剛性のシート材料の使用が可能となります。
弊社のトラニオン構造ボール弁であるGSシリーズには下記材質のシートをご用意しております。
・強化PTFE
炭素繊維で強化したフッ素樹脂です。
・PEEK
ポリエーテルエーテルケトン。スーパーエンジニアリングプラスチックの代表格ですね。
機械的強度、耐加水分解性に優れ、有機化合物であるケトンが含まれることで耐熱性や耐薬品性にも優れる材料です。
・API
優れた耐熱性と低温から高温にかけて優れた機械的特性を維持する全芳香族ポリイミド樹脂です。
耐摩耗性、クリープ性にも優れています。
耐熱性には優れますが蒸気には使用できませんのでご注意ください。
・強化PEEK
弊社が扱う樹脂製シートのフラッグシップです。
蒸気ラインでも比較的厳しい使用状況で採用頂いております。
高剛性な材質ですので、全閉時に若干の弁座漏れが発生します。
・SUS316
ボールとの接触部にステライト処理を施し耐摩耗性を向上しています。
全閉時に多少の弁座漏れを有します。
お気軽にお問い合わせください。
お客様のご使用条件に最適なボールバルブを選定させていただきます。
詳しい使用条件をお知らせください。
ご連絡お待ちいたしております。
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